先日、VANOS異常の警告からのエンジン出力低下に陥ってしまったM5。
前回の記事はコチラ↓
余談ですがこのエンジン出力低下の制御、これはフェイルセーフといって「ある部位に発生した異常が元で他の部位を壊してしまわないよう、作動に制限をかける」という制御です。
今回の場合は、片バンクのVANOS異常という「V型エンジンのバランスがおかしな状態」ですので、ここでエンジンをブン回すともう片バンクにも異常な負荷がかかって壊れてしまう可能性がある……ということで、それを防ぐための措置といえるでしょう。
ちなみにこのフェイルセーフ、日本では「退避モード」なんて呼んだりもしますが、海外では「limp mode (リンプモード)」と呼ばれているようです。「limp」とは「もたつく、足を引きずる」という意味で「故障車がフラフラと辛うじて修理工場や自宅まで辿り着ける」モードということですね。
余談はこの辺にして、とにかくこのVANOS異常を何とかしない限り、まともに走行することはできません。
そこで、海外サイトを片っ端から調べていると「VANOSシステムのエア抜き」を行うことでソレノイドバルブテストの数値に変化が起こる可能性があることが分かりました。
そういえば、前々回の記事でISTA/Dを使って診断していたときに画面に項目が出ていました↓
ということで、最後の悪足掻きでVANOSシステムのエア抜きをやってみます!
手順ですが、何も難しいことはなく上記の画面でエア抜きの項目を選択するだけです。この画面に遷移するまでの手順は前々回と同じですので割愛します。
エンジンを掛けた状態でエア抜きスタートです。「この作業には20分ほど掛かります」と画面に出てきます。
作業がはじまるとエンジン回転が勝手に上下し始めます。この間、おそらくVANOSもあれこれと動かしてエアを抜いているようなのですが、このときの音!
以前にも何度か書いたことがあるのですが、たまにエンジンから聞こえてきていた「ブーン」とか「ガラガラ」という怪しい音、アレと全く同じ音なんです。あの音はずっとタペット音か何かと思っていたのですが、まさかVANOSからの音だったとは!
車両購入時からしていた音なので、実はずっとVANOSの調子が悪かったのか!?
と、外から様子を見ているうちに作業完了。
そして気になる結果は……
エンジン警告灯が消灯!!(画像は過去のものです)
ディフェクトメモリーも消去してみましたが、再度入力もされず!
見事に直ってしまいました。更に、あの気になる音も一切しなくなり違和感のないエンジン音を奏でています。
そして更に驚く出来事が……
4,000回転辺りからの伸びが今までと全然違うんです!
これには感覚の鈍い私もビックリ、明確に体感できる違いです。例えるなら、POWERボタンを押した後、更にPOWERボタンを押したかのような違いを感じられました。
元々、大排気量でパワーもある車ですのでエンジン出力に不満はなく「こんなもんか」と思っていたのですが、VANOSシステムが完全な作動をしていなかったために2年近くも本来の性能を引き出せていなかったとは……(汗)
今までも十分気持ち良く走っているつもりでしたが、今回の件でますます気持ち良く走れるようになりました、これは堪りません!
新車時がどんなものかを知らないと、こういうこともあるんですね~。
これはもう、SMGの学習リセットと合わせて定期メンテナンスとして行った方が良さそうですね。
唯一困ったことは、VANOS異常が出る直前に注入したエンジンオイル添加剤のREWITEC……VANOSシステムのエア抜き後にエンジン性能が劇的に変化してしまったため、REWITECの効果については全く分からず……
この変化の一部に、もしかしたらREWITECも一役買っているのかもしれませんが、インプレできなくなってしまったのが残念でなりません(笑)