以前の記事で、BMW E60 M5 SMGⅢの故障やトラブルについて書きましたが、今回はそれぞれの部位についてメンテナンス時に交換するパーツや、その価格を調べていきたいと思います。(国内での部品価格は調べても分からないことが多いので、その場合は海外での参考価格を記載しています)
まずはメインとなる部分、トランスミッション本体とクラッチについてです。
前回の記事はこちら↓
トランスミッション本体
品番:23012283399
流石にトランスミッションASSYで交換となった場合は、新たな中古車を探した方が早いかもしれませんが(笑) 一応載せておきます。
国内純正部品の新品定価は分かりませんが、ネットで検索すると、ディーラー交換で130万~170万かかるという古い情報が出てきます。純正部品は年々高くなる傾向があるので、おそらく今はもっとかかると思います。
海外で新品らしきものが売られていました↓
https://www.hubauer-shop.de/en/exchange-7-speed-sequential-gearbox-23012283399.html
参考価格:11.117,99ユーロ
今のレートで135万円くらいでしょうか、日本へ発送してくれるとしても送料がヤバそう(汗)
それにしても不思議なのは、トランスミッションの上に乗っかっているハイドロリックユニットだけでも100万円近くするはずなのに、トランスミッションASSYでもそれほど価格が変わらないことです。ASSY購入のこの圧倒的なお得感は一体何なのでしょうか……!?
トランスミッション本体についてはこの辺にしておいて、消耗品を調べてみます。本体に関する消耗品はオイル関係くらいのものです。
トランスミッションオイルフィルター(上図2)
品番:17212283111
ミッションオイルの汚れを濾過するフィルターです。海外サイトで50~60ドルくらい、おそらく国内で調達しても1万円以内で買えるでしょう。上図3のドレンワッシャー(品番:07119963300)も同時に交換が必要です。
ミッションオイル
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純正だと1Lで5,000円くらいします。オイルのグレードが合っていれば、必ずしも純正に拘る必要はないと思います。3リットルあれば足りるようです。
純正品番:83222339219
クラッチ廻り
最も現実的なメンテとしては、やはりクラッチ廻りの部品交換でしょう。ここは将来を見据えて詳しく調べてみます。
クラッチセット(上図1)
品番:21212283089
クラッチカバー、クラッチディスク、レリーズベアリングの3点セットです。価格はOEMや社外品で国内9~10万円くらい、海外だと7~8万円くらいで手に入るようです。純正品は国内だと15万円近くします。クラッチ交換費用は、このクラッチセットと後述するフライホイールを如何に安く手にいれるかが重要になってきます。
新品即納 BMW E60 E61 M5 クラッチ KIT E63 E64 M SMG ダブルマス 21212283089 SACHS製 価格:90,500円 |
ボルト(上図3)
品番:07129905539
クラッチカバーを留めるボルトです。海外で1本2ドル以下で売られているので国内でも数百円で手に入ると思いますが、9本必要です。
レリーズレバー(上図4)
品番:21511223302
国内で4,000円くらいで手に入ります。送料を考えると、海外調達するメリットは特にありません。
スプリングホルダー(上図5)
品番:21517570284
国内で800円程度で手に入ります。
ピボットピン(上図6)
品番:21511223328
国内で1,500円程度で手に入ります。また、強化品として金属製の社外品が7000円くらいで販売されていますので、予算に余裕があれば強化品を選択してもいいかも。海外なら3,000円くらいで売られているのですが、やっぱり送料がネックです。
クラッチ廻り(トランスミッション側)
トランスミッションを下ろさないと交換できない部品があるので、クラッチ交換時に一緒に交換しておいた方がベターです。トランスミッション脱着だけでかなりの工賃がかかりますので。
ガイドスリーブ(上図1)
品番:23117564680
一見交換しなくても良さそうな部品ですが、マニュアルではクラッチ交換時の交換指定部品です。クラッチ交換時くらいしか交換する機会がない部品なので一緒にやっておいた方がいいでしょう。海外で50~60ドルで手に入るのですが、国内だと1万円くらいかかるかも。留めているボルト4本(上図2)の品番は 「07119904633」となります。
シャフトシール(上図3)
品番: 23017837412
インプットシャフトのオイルシールです。海外なら20~30ドルで手に入る部品ですが、国内だと5,000円くらいしそうな気がします。ここからオイル漏れを起こすと、たかがオイルシールの交換に高額な工賃を払うことになりますので、クラッチ交換時に交換しておいた方がいいでしょう。
シールカバー(上図4)
品番: 23018677735
穴を塞ぐカバーです、何の穴か良く分かりませんが(汗) ただシールと名乗っている以上、ダメになるとオイルが漏れてくるはずなのでシャフトシール同様、クラッチ交換時に交換しておいた方がいいと思います。こちらも海外で20~30ドルで手に入ります。
シャフト シール(上図8)
品番: 23121222769
プロペラシャフト側のオイルシールです。国内純正定価は8,000円ほどするようですが、ネットショップで3,500円程度で販売されています。海外だと15ドルもあれば手に入るようです。
フライホイール
ダブルマスフライホイール(上図1)
品番: 21212229955
トランスミッションASSYは別格として、クラッチ廻りで一番高額な部品がこのフライホイールになります。国内純正品は30万円オーバー、ネットショップでも安くて26万円ほどします。しかし、OEM品なら18万円くらいで済み、さらに海外調達なら15万以下で手に入りそうです。
ただしこのフライホイール、完全に摩耗したクラッチによって表面がダメージを受けていれば要交換となりますが、クラッチがまだ残っていれば基本的に交換しなくても済むようです。こういうこともあり、クラッチは完全に磨耗する前に交換しておいた方がいいのです。
パイロットベアリング(上図2)
品番: 11211720310
フライホイールを交換しなくても、ここは交換必須でしょう。OEMなら2,500円、純正でも4,000円ほどで手に入ります。
ノックピン(上図3)
品番:11211736881
調べてみても、絶対交換しないといけない部品なのか正直良く分かりませんでした(汗) フライホイールを交換する際にセットで交換した方がいいのかな、という気がする部品です。ただし、海外でも1つ15ドル近くする上に全部で9個必要なので、交換の要否はプロに相談した方がいいかもしれません。
シャフトシール(上図2)
品番:11217838071
フライホイールの奥、エンジン側に付いている俗に言う「クランクリヤオイルシール」というものです。ここがダメになるとエンジンオイル漏れの原因となるため、フライホイールを交換しなくても交換しておいたいところです。海外で 30~40ドルで販売されていますので、国内だと5,000円以上しそうです。
その他(レリーズシリンダー)
クラッチレリーズシリンダー(上図6)
品番:23017838938
一般的な車種であれば、クラッチ交換時と言えどもあまり交換することはないと思われるレリーズシリンダーですが、このSMGⅢでは事情が違います。なんとベルハウジングの内側からナット留めされており、トランスミッションを降ろさないと交換できない構造になっているのです! しかも、SMGの不具合要因の1つとして「レリーズシリンダーのプッシュロッド抜け」という事例が存在するようで、実はクラッチ交換時に是非とも交換しておきたい部品の1つなのです。価格は国内でも海外でも50,000円近くする比較的高価な部品ですが、単体での交換工賃がヤバいので多少無理してでも交換しておきたいところです。
クラッチストロークセンサー(上図7)
品番:23017837428
レリーズシリンダーに刺さっている、クラッチ位置を検出するセンサーです。スピードセンサー等と同じく、たまに不具合の出る部品みたいです。こちらは内部から留まっているわけではないのですが、位置的にトランスミッションを下ろすか傾けないと交換できないようです。ただ価格が高く、海外でも450ドルくらいします。国内純正だと6万円くらいしてもおかしくありません。
まとめ
一通り必要そうな部品を調べてみましたが「トランスミッション降ろしたついでに……」と考えだすと、かなりの部品を交換したくなってきますね(笑)
ざっと計算してみると、フライホイールを除くクラッチ交換と最低限のシール類の交換だけでも25万円は見ておいた方が良さそうです。工賃でかなりの差が出ると思いますが、丸1日作業になるはずなので7~10万円はかかるでしょう。レリーズシリンダーも含めたフル交換となると、35万円は覚悟……でしょうか。フライホイールまで入れると50万円(汗) ちょっとした部品がすぐ5,000円とかしますし部品の数も多いので、自分で調達する時は調達先(国内 or 海外)だけでなく、まとめて1つのショップで手配する等の工夫、それに送料も考慮して綿密な購入プランを立てることが重要ですね。
ただ、一度しっかりメンテしてしまえば10万kmとはいかなくても、7~8万kmクラッチを持たせることが可能である事は私の車両でも証明されていますので、M5の一大イベントとして出来る限りのことはやりたいと思っています。
「ココも交換した方がいいよ!」という部品がありましたら、情報提供お待ちしております!
次回はSMGⅢ最大の鬼門、ハイドロリックユニットについて調べてみます。