新型コロナウイルスが世界中で感染拡大していることを受け、金融市場ではリスクオフムードが高まっています。
そんな中、為替相場では2月19日~20日に一気に円安が進みました。しかし、国内株式市場はさほど上がらなかった為、ここからあるウワサが浮上しました。
リスクオフで円が買われる時代は終わりを迎えつつある、これからは円安=株高という図式が崩れ、株価の上昇を伴わない「悪い円安」が起こる可能性がある
という説です。
日本経済にはもうかつての勢いはなく、オワコン化 → 円の安全神話が崩壊するということのようです。
一見、説得力のありそうなこの説ですが、本当にそうなるのでしょうか?
個人的には、現段階ではまだそこまでの事態は起こり得ないと考えています。何だかんだ言って、本当の経済危機が訪れた場合は結局、円が買われるんじゃないかと。
1回や2回、株価が連動しなかったからと言って「これから感染拡大で株価が下がるから円売りポジションを取る」というのは些か早計ではないかと思うわけです。
では何故、これからもリスクオフで円が買われると考えるのか?
理由はやっぱり「日本は世界一の債権国」という事実が今でも変わっていないからです。
確かに、技術競争では後塵を拝し、GDPも上がらず生産性も低い、少子高齢化による将来の不透明さ、以前に比べて国力が弱まっているのは間違いないでしょう。日本がオワコン化しているのも去ることながら、他国に追い付かれ追い越され……の方が大きいとは思いますが。
それでも、対外的な債権額はまだ世界一です。2位のドイツが猛追していますが、ドイツの通貨はユーロであり、単独通貨ではありません。なので「ユーロ=債権国の通貨」とはなりません。
3位の中国とはもう少し差があるので、すぐに順位が逆転することもありません。
ということで「世界一の債権国」の称号を返上するまでは、日本経済が弱くなってもリスクオフの円買いは根強く残るのではないかと考えています。
すると、先の1週間で起こった「円安&株安」は、為替相場か株式相場のどちらかが「ウソをついていた」ことになる可能性が出てきます。
それがどちらかは分かりませんが、相場のボラティリティーも大きくなりそうですし、しばらくは目が離せない展開が続きそうです。
特にドル円、「押したら買い」なのか「噴いたら売り」なのか?
ここの判断を誤ると、かなりの長期間において助からないポジションを作ってしまう可能性が大きく、気を付けたいところです。