ここ数年、やたらと目にするのがインデックス投資を勧める記事やコラム。
- 知識がなくても機械的に買うだけで勝てる
- 放ったらかしで資産が増える
- 長期的にはアクティブ投資よりも高パフォーマンス
といった謳い文句が並び、新たな参加者がどんどん増加している状態。
特に、その中でも米国株の煽りが凄く、もう「いつでもどこでも、とにかくドルコストで米国株さえ買っておけば、長期的には資産は右肩上がりに増えて老後はハッピー!」という、米国株インデックス至上主義と言わんばかりの論調をそこかしこで見かけます。
また、「長期的にはアクティブ投資よりインデックス投資の運用成績が上回る」というのは以前から言われていた説なのですが、ここ2~3年の間に急激に広まった感があります。
その根拠と言って出てくるのが、毎度お馴染みのこのチャート↓
知っている人は「またこれかよw」とウンザリするのではないでしょうか(笑)
100年以上の歴史を持つ米国株式市場ですが、たしかにいつどこで買っても「今のところは」持ち続けている限り必ずプラスになるということが、このチャートで証明されています。2/6には史上最高値を更新しましたし、含み損の買い方はほぼいないのも事実。
もちろん、他にも色々と理由はあります。
- 貨幣経済は理論上、ゆるやかにインフレするため株価は上がり続ける
- 株式指数は常に銘柄を入れ替えているので、基本的には上がり続ける
- アメリカは世界最強の国なので、今後も衰退することはない
とか、聞けばどれも納得の理由です、理論的には非の打ち所がありません。GAFAをはじめとする世界的企業の数も圧倒的ですし、個人的にも「そりゃあアメリカに投資しておけばまず問題ないわ」とは思います。投資未経験者に何を買えばいいか聞かれたら、私も米国株インデックスと答えるでしょう。
別にアメリカでなくても構いません、日本株だってインデックス投資で長期的にやれば、余程変なタイミングで始めない限りはまず勝てると思います。「勝った」「負けた」という言い方はあまり好きではありませんが……
要は、配当再投資を前提とした場合、配当利回りの分は値下がりしてもチャラなワケですから、配当利回りが2%としても毎年2%の勢いで市場平均が下がり続けない限り、いつか資産は増えるということです。もちろん市場平均が下がれば配当も下がるので、そこまで単純ではありませんが、20年くらいの投資期間をかけて相場の山谷を1サイクルすれば、インデックスの平均取得値と長期的な市場平均値がほぼ一致して結果、資産は増えていることと思います。
ただ、ひねくれ者の私はここまで「インデックス投資は鉄板!時間をかければ必ず勝てる!」 と騒がれているのを見ると、本当に大丈夫なのかと疑いの目を向けざるを得ません(笑)
以前、靴磨きの少年の逸話について書きましたが、時が時なら今の状況、靴磨きの少年も「インデックス投資なら絶対勝てる!」とか言ってそうです。
自分が靴磨きになることだけは絶対に避けなければなりません!
靴磨き現象についての記事はコチラ↓
相場の常として「参加者の殆どが簡単に儲かる」なんてことは長期的に見ると、ほんの一時訪れるバブルの時しかありません。そんな時期は何年も続くものではなく、短期的に儲かった参加者の殆どはその後、儲かった以上の損失を出して退場し、相場の肥やしとなる……これを繰り返してきたのが相場の歴史です。
かといって、インデックス投資で大損ブッこくビジョンもそう明確には描けないのでうまくは言えませんが、ここまで盛り上がっていると何というか……ニワカ投資家のふるい落としや、損をさせる何かが来るのではないかと、恐れずにはいられません。
ということで、手堅いはずのインデックス投資、この先どんなことが起これば失敗するのか?
いくつかのパターンを考えてみました。
今の株価がこの先30~50年の天井で、この先ダダ下がりがずーっと続く
これはちょっと考えられませんが、上昇相場の8号目辺りから投資を始め、天井を付けたあとそのまま数十年ずーっと下がり続けるパターン。
日経平均でいうと、運悪く1989年からインデックス投資を始めるようなもんですが、それでも30年経った今ならプラスになっていると思います。しかし、20年で辞めていたらマイナスっぽいですが(汗)
まぁ日本株だからこれですが、米国株ならそんな事にはならないと「過去を見る限りでは」思いますよね。
株価が高値圏で長期間推移し、投資期間終盤で一気に下がる
20年スパンを例に取ると、高値圏で15年くらいヨコヨコして、高値でたっぷり買わされた挙げ句、最後の5年で暴落からの底値張り付きでタイムオーバー。平均取得価格が高過ぎて、いくら配当再投資しても含み損を回収できなくなるパターン。
まぁ相場には波がありますから、これも非現実的だと思いますが、始めるタイミングによっては!?
円高が起こり、ドル建て資産は増えても為替差損で日本円に戻すと増えていない
これは米国株に限っての話ですが、何らかの理由で急激に円高が進み、ドル建てで増やした資産が円換算すると全然増えていない、というパターン。
しかし、ドルコストで買い続けていれば円高の時には沢山買えるため、同時に米国株が長期下落トレンドにでもならないことには、これで損を出すのもなかなか難しいのかなと思います。
長期投資を続けようとする心を折りに来るような大暴落が起こる
ニワカをふるい落とすなら、これが一番手っ取り早いのかなと思います。リーマンショック級の、1年で株価が半分になるような大暴落が起こって心が折れるやつです。
そのまま続けていればプラスになっていたものを「やっぱり株はギャンブルや!」と、途中で諦めてしまう程の出来事が起こるパターン。
ただ、最近流行りの少額積み立て方式の投信なんかは手強いです(笑)
「大暴落は買い」というのはリーマンショック経験者ならみんな分かっているので、経験者でも「分かっているのに恐怖で買えない、むしろ損切りしてしまう」レベルの大暴落を起こすのは相当難しいと思います。
まとめ
以上、インデックス投資で損をするパターンを思い付くだけ挙げてみましたが……やっぱり長期的にやってマイナスを叩き出すのは難しい、という結論にならざるを得ません。歴史を見る限り、マイナスになる可能性が非常に少ない投資法だと思います。
リーマンショックの記憶も未だ消えておらず「大暴落は買い」が参加者にバレていることから、あるとしたら「長期的にゆるやかな右肩下がり」が最も多くの参加者にダメージを与えられる動きだと思いますが、日本ならともかくアメリカでそんなことあるのか?と思ってしまいますよね。もしそうなったら、日本は一体どうなってるんだ?と考えると恐ろしいです(汗)
もしかしたら、参加者誰もが想定すらしていないような「インデックス投資で損する」何かが起こるかもしれません。その「何か」が分かっていれば当然対策できますが、分からないのでその時はきっとみんな損をします(笑)
意地悪な言い方ですが、現在のインデックス投資ブームに乗った靴磨き達が相場の肥やしになる……これが杞憂に終わればいいのですが、そうなると今度は「相場ってそんなに甘かったかっけ!?」と、疑ってた自分がバカらしくなってしまいます。
まぁ相場に絶対はないので、時にはビックリするくらい甘やかしてくれることもあるってことですかね!?
未来は如何に!?